高校や塾・予備校で世界史を担当されている諸先生方へ

*長くなってしまいますが、お読みいただけると幸いです。

私の夢は、“高校の世界史の教師”  になることでした。勿論、世界史を教えることだけではなく、一緒に文化祭や体育祭に燃え、部活動の顧問として共に感動し、進路指導に力を入れ、将来の日本を背負って立つ子供たちを世に輩出していきたいと・・・勝手な夢物語を描いておりました。結局、叶うことはなく、現在は大学受験のための予備校講師に成り下がってしまっております。

正直、無念です。

しかし、得られたことがありました世界史」という教科の重要性を強く感じられるようになったことです。「グローバル化」をうけて1990年代の後半から「世界史」の必修化が開始されました。しかし、準備不足や官庁の本気度の低さで、この「必修化」が裏目に出たことはご存知のことと思います。世界史講師不足により他科目の講師が教えた、生徒のレベルに合わない難解な教科書にした、「世界地理」を無視した受講システムにした、などにより多くの高校生は「世界史は難しい」「世界史は嫌い」「世界史は無意味」と感じるようになってしまったのです。

2018年2/15に「新学習指導要領」草案が発表され、現在はヒヤリング時期に入っています。近現代を融合させる「歴史総合」の創設が決まり、内容が問題視されている現在です。加えて、現場の先生方からは、世界史の先生?日本史の先生?どちらが教えるのか…など、「地理総合」の登場もあり、3年半後に襲って来る混乱に一喜一憂している現状です。

教育の混乱は子供たちへの教育の質も下げることになるでしょう。ナショナリズムが台頭する中でも、globalizationを良しとする風潮は根強く、その中で、世界史はどんな役目を果たさねばいけないのかと考えています。しかし、今回の様々な教育改革では、間違えなく「世界史」を勉強する生徒は減っていくでしょう。いや、「歴史総合」に含まれる世界の歴史を断片的にしか見えていない「世界史」(多くの宗教の成立背景を教えない・絶対王政がないのに市民革命は教える・世界大戦の複雑な国家間の関係より日本の関わり方が重視されるなど)であるという認識で学んでくれることは難しいでしょう。

つまり、一部の生徒だけが知る「世界史」になり、内向きの日本国民が大半を占める世の中になっていくのでしょう…きっと。だから、少しでも…世界史の先生方が繋がれたら、何か新しいアプローチが見つかるのではないかと思っている次第です。

 

①世界史の先生方と語り合いたい

2018年2月のFacebookに「世界史講師の会(世界史の先生が繋がり刺激し合える会)」の記事を配信致しました。 もう、「世界史」軽視を黙って見過ごすことができなくなったというのが本音です。自国の歴史を知ることは勿論大切ですが、それをやりすぎた結果として何か大切なモノを疎かにしていないかという警鐘を鳴らしたいというのが目的です。世界のあらゆる文化や情報が漂流する現代社会において、他国の歴史を知っておくことが国際人のマナーであり、相手を知ることで、国民・国家・民族・人種間の気持ちのすれ違いを減らし、国際対立や戦争へ発展する国際問題に解決の糸口を見出せるのではないでしょうか?
大きな目標になってはしまいましたが「世界史を学ぶ意義」「世界史の教え方」「世界史が抱える問題」など、業界や経験を越えて、多くの世界史の先生が語り合える場が必要な時が来たと思っております。

 

②世界史嫌いを減らしたい

最初から世界史が嫌いという子供はいません。特に最近は、家族で海外旅行に行ったとか、親の仕事の関係で海外に住んでいたとか、『世界ふしぎ発見』などのテレビ番組を見たなど、世界史に関係することに触れる機会が子供たちに増えてきています。にもかかわらず、なぜ嫌いになってしまうのでしょうか?理由は2つでしょう。

1つは「授業がつまらない」。もう1つが「点数が取れない」

前者は「話し方」「授業スタイル」「授業ネタ」が大きく左右してくるモノです。子供たちは生きています。ですから、常に感じたい欲求に駆られているのです。生徒の興味がどこにあるのか、それを探り、引っ張り出せば「授業をつまらない」と感じる子供は少なくなると信じています。

後者は「目的を持った教授」ができるかということでしょう。我々には専門や得意な単元があります。ついつい、そのような分野が出てくると熱くなって話過ぎ、興味を持ってもらったものの、細かすぎてテストでは点が取れない、さらに時間の不足が生じて、やらねばいけない範囲をプリントの読み合わせ程度で軽く飛ばしてしまうという現実です。そして、講師の言葉は「テストにあまり出ないから、軽く流すだけでいい~」。そんなことは、あるはずがないのです。これで生徒は模擬テストで点が取れなくなってしまいます。

 

世界史は初めて触れる科目だから

中学生でも多少世界史もどきなモノには触れます。しかし、日本史と比べたら100分の1ほどしか触れないでしょうね(笑)。だから、「初めて」なのです。根本的に日本史とは歴史styleが違うものですから、中学校で「歴史」という科目が苦手だった子でも、世界史を好き、さらには得意な科目にさせることは可能なのです。

日本史に加えて世界史を知っていたら、どれだけ視野が広がるかを分かってもらいたいのです。多くの高校生には・・・。

世界史は覚える前に子供たちに考えてもらいたいこと・・・。

世界史はテストのための科目ではなく、生きるための科目であること。大げさかもしれませんが世界史は「広くて深い人間ドラマ」であり、時代を変え、場所を変え、同じことを繰り返し、これから子供たちの身の回りに起こっていく出来事の「予習」なのだと、僕は確信しています。

 


 

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